作家志望の青年が来る。

「作家志望の青年が来る。」

作家志望の青年が、自分の作品を持って、うちの家に来た。 最初、インターホン越しに話をしていたが、青年の熱意に負けて玄関のドアを開けてしまった。 「すみません、父は今出かけています」

「うそでしょう。いることはわかっているんだ。気配でわかる。先生はいらっしゃる」

「ああ、その気配は、たぶん父の友人のサカイヤ先生だと思いますわ。先ほど父をたずねていらして、父の帰りをお待ちになっているのです」

「そうたっだんですか、失礼なことを言ってすみませんでした」

「とにかく作品は私がおあずかりして後ほど父にお渡しします」

青年から作品を受け取って、青年にはそのままお引取り願おうと思っていたのに、青年は、「そうですか、では」と、つかつかと上がりこんでしまい、あれよあれよというまに、客間のソファーに座った。 客間は、散らかっていて、私はそのことをものすごく恥ずかしく思い、 「えらく散らかっていてすみません」 と言いながら、床に散乱していた脱ぎっぱなしの体操服を慌てて拾った。

続く

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